■武市富子(武市半平太の妻)-振るまい柿の話
---後年、富子が語った武市道場にやってきた三人の振るまい---
龍馬はやってくると、まったく無遠慮に、お盆にのせてある季節物のきねり柿の手ごろなものをつかみ勝手に包丁で皮をむき、むしゃむしゃ食べてしまう。まだ柿のへたあたりが渋いのだが、あまり龍馬が不作法なのが胸につかえて、冷たく眺めていると、なんとすました顔で平らげる。「鈍感で味もわからない人」と思っていると、そうではない。龍馬は次のを取ると、要領よく甘い部分だけを切りとって食べ、渋いところはポイと棄てる。
中岡慎太郎は龍馬とまったく反対で礼容を崩さず、柿をむいてすすめても「かたじけのうござる」の繰り返し。柿には手を出そうとしない。
吉村寅太郎は至って如才ない方で、勧められるままに手に受けて、にこやかに味わい、「拙者の家でも柿の木がたくさんあるが、とてもこの味には及びもつかぬ」などと、ほどよく対応して親しみを見せる。接待して一番物柔らかな感じの人だったが、後年大和に兵をあげ、高取城で長槍をふるって勇戦格闘したと聞いたときは、にわかに信じられなかった。
■武市半平太(土佐藩)
---龍馬脱藩に際し一編の詩をはなむけに贈った。---
肝胆元より雄大にして
希機自ら湧き出す
飛潜誰か識る有らん
偏に龍名に恥じず
また脱藩後「土佐にあだたぬ奴」(土佐一国に収めきれない奴)とも言っている。
■住谷寅之助(水戸藩)
---安政五年、龍馬24歳、国境で面会して---
龍馬誠実可也の人物、併せて撃剣家、事情迂闊、何も知らずとぞ。
■平井収二郎(土佐藩)
---京都にいる妹・加尾に龍馬が接触し、問題をおこしはしないかと心配して---
元より龍馬は人物なれども書物を読まぬゆえ、時として間違いし事も御座候得ば、よくよく御心得あるべく。
■勝海舟(幕府)
---初めて会ったときの感想---
彼はオレを斬りにきた奴だったが、なかなかの人物さ。その時おれは笑って受けたが、落ちついていて、なんとなく冒しがたい威厳のある、いい男だったよ。
■陸奥宗光(紀州藩・海援隊士)
坂本は近世史上の一大傑物にして、その融通変化の才に富める、その識見、議論の高き、その他人を誘説、感得するの能に富める、同時の人、よく彼の右に出るものあらざりき。
■西郷隆盛(薩摩藩)
天下に有志あり、余多く之と交わる。然れども度量の大、龍馬に如くもの、未だかつて之を見ず。龍馬の度量や到底測るべからず。
■三吉慎蔵(長府藩)
過激なることはわずかもなし。かつ声高に事を論ずるようのこともなく、至極おとなしき人なり。容貌を一見すれば豪気に見受けらるるも、万事温和に事を処する人なり。但し胆力は極めて大なり。
■土方楠左衛門(久元)(土佐藩)
---西郷・龍馬・高杉を称えて---
三士共にその言動すこぶる意表に出で、時としては大いに馬鹿らしき事を演じたれど、又実に非凡の思想を有し、之を断行し得たり。
■大久保一翁(幕府)
龍馬は土佐随一の英雄。いはば大西郷の抜目なき男なり
■東久世 通禧(ひがしくぜ みちとみ(公卿)
---大宰府で三条実美ら公卿と国事を論じて---
偉人なり。奇説家なり。